サブプライム問題の仕組み

サブプライム問題で瀕死の状態になった米国経済。その後遺症としてデフレに陥っている。しかし、デフレ脱却に向けて前進か12月の消費者物価統計で物価の下落幅の縮小傾向が確認され、エコノミストの間では、デフレ脱却に向けて前進との見方が浮上している。

サブプライム問題の仕組みとは

ポイント解説

 

米国で低所得者ら信用力の低い人が、自ら借りた住宅口−ン(サブプライムローン)を返済できない事態が相次いだ。ローンの返済を前提にした金融商品(証券化商品)は焦げ付きが急増し、これを売買していた金融機関の損失が拡大。世界の金融市場は大混乱に陥った。

 

サブライム問題が引き起こす経済破綻

 

問題が深刻化したのは、2007年8月。フランスの大手銀行BNPパリバで、サブプライムローン関連の証券化商品に投資していた傘下のヘッジファンドが資金繰り難に陥った。これを機に、欧米の株価が急落し、株安は日本などアジアにも波及した。銀行同士で資金を貸し借りする短期金融市場でも損失を抱えた銀行などへの融資が手控えられ、貸出金利は急騰。日米欧の中央銀行は、大量の資金供給を繰り返した。市場の動揺はそれでも完全に収まらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に大幅利下げを決定。市場はいったん落ち着きをみせた。しかし、その後も欧州では英国やドイツの中堅銀行などの経営悪化が表面化し、金融大手ののUBSも巨額赤字を計上。米国では、シティグループとメリルリンチの最高経営責任者が巨額損失の責任をとって相次いで辞任する事態になった。

 

日本でも、サブプライム関連事業にかかわっだ野村ホールディングスが、巨額揖失を計上。みずほ証券は赤字決算に陥り、 08年1月予定の新光証券どの合併を5月に延期する事態に追いこまれた。

 

ポイント問題点/展望

 

混乱が拡大したのは、サブプライムローンの焦げ付きで損失を被るリスクが、「証券化」で世界の金融機関や投資家にばらまかれていたためだ。高度な金融技術で薄く広く分散されたはずの損失リスクは、顕在化し始めるとその所在や規模の全容がはっきりとつかめない。

 

それが「あの金融機関は本当に大丈夫か」という疑心暗鬼につながった。米政府は、ローンの借り手救済のため、低金利ローンヘの借り換え促進策などを検討。金融機関の監督体制や証券化商品の評価方法、格付け会社の役割などの見直しも始めた。さらに米財務省に促され、米大手銀行が800億ドル規模の基金を設立し、買い手不在で売買が滞った証券化商品を購入する受け皿にすると発表。官民挙げて早期解決を目指している。

 

ただ、対応策の多くはまだ具体性に乏しく、焦げ付きは08年にかけてさらに増える見通しだ。混乱が長引けば、世界経済をジ/つ張る米国景気への悪影響が広がる恐れがあり、世界的な景気減速を招く最大のリスク要因とみられている。

 

関連用語

サブプライムローン

 

所得の低い人や、過去に借入金返済を延滞した人などへ貸し出される住宅ローンのこと。優遇金利が適用される「プライム」より信用力が劣ることから名づけられた。当初の数年間は低金利だが、その後は急速に負担が高まる条件の融資が多い。米国の全住宅ローン約11兆ドルのうち、 10%強の約1.3兆ドルを占めている。住宅価格の上昇時は、担保価値が上がることで、条件のよい別のローンに借り換えられたが、上昇の伸びが鈍ると返済に困る人が増えた。サブプライムローンの延滞率は2007年初めの時点で約15%となっており、プライムローンの約5倍にも達している。

 

金融マーケット

 

証券化商品

 

企業が持つ債権などの資産を有価証券の形に変え、売買しやすくする仕組みを証券化という。例えば、住宅ローン債権の場合、個人から将来にわたって資金の返済を受ける権利を証券化することで、資金の貸し手と借り手の関係を離れて第三者でも売買できる金融商品になる。貸し手は証券化商品として投資家に売却し、将来の貸し倒れリスクなどを回避して資金を確実に回収できる。一方、証券化商品を買う投資家は、通常は直接に投資できない対象へ資金を投じ、有利な運用を狙える。住宅ローン以外にも、自動車ローンやクレジツト、企業の貸付債権、保有不動産など様々
な資産が証券化の対象となる。

 

ヘッジファンド

 

特定の金融機関や個人の富裕層などから巨額の資金を集め、高収益を目指す投資組合。株式などの相場下落時にも利益をあげられるよう、金融技術を駆使した運用が特徴だ。高い収益を求めてサブプライムローンの証券化商品に投資したため、多額の損失を被るヘッジファンドも出た。世界の金融市場で存在感が高まる一方で、投資組合の実態について十分な情報開示ルールがないことから、規制強化を求める議論も高まっている。

 

格付け会社

 

国債や企業の社債などの債券について、元利払いの確実性を評価、判定する会社。米国のスタンダード・アンド・ファース(S&P)やムーディーズ・インベスターズ・サービスなどが世界的に知られる。サブプライム問題では、焦げ付いた証券化商品に高い格付けを付与していたことから、評価の甘さについての批判があがった。「格付けは意見の表明。最終的な判断の責任は投資家にある」との指摘もあるが、適切な評価の方法や資産価値の低下に伴う格付けの迅速な見直しなど、格付け会社の課題も多く浮かび上がった。

 

PR:FX(forex)初心者のサイト

 

株式情報と為替相場(FX)

【1】日本株見通し:日本国債格下げの影響は限定的、短期的に輸出関連への手掛かり材料にも

 

【2】NY株式概況:半導体のクアルコムなど主要企業決算が好感

 

【3】ADRランキング:コマツや京セラなど上位

 

【4】外資系注文状況:9社、差し引き810万株の売り越しとの観測

 

【5】強弱材料:欧州株式市場、銀行株中心に堅調推移

 

【6】新興市場見通し:サイバーエージ中心にネット関連への関心が高まる

ユーロが円やドルに対して最高値圏にある。米サブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅ローン)問題でドルの信認が揺らぎ、その逃避先としてユーロが選ばれているからだ。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は19日、サブプライム向けの高金利型住宅ローンの焦げ付きが金融機関に最大1000億ドルの損失をもたらすとの試算を明らかにしが、サブプライム問題は米国の借金体質という、より根深い構造問題に端を発しており、その影響は米金融機関のみに限定されるものではない。